2013年10月19日土曜日

師範に訊く! 石田家にナローがやってきた経緯と8年放置の顛末!

 前回はちょっと長めのプロローグ。そして今回より、道場日記の本編のスタートです。まず今回は、ポルシェ914に心酔だったショーキチ師範がナローを入手した経緯と、その後約8年にわたるナローの長い眠りの詳しい顛末について書こうと思います。このことについての話を師範から詳しく聞いたのは、アキノリさんが初めてレストア道場に参加してくれた今年1月29日の第三回レストア道場終了後の食事の席でのことでした。

日岐 師範の914好きは凄くよくわかるんですが、この911はどんな経緯で師範のところにやってきたんですか?


石田ショーキチ師範(以下石田師範) このナローを手に入れたのは1999年頃でした。もともと自分の914に911S用の6気筒を積んで遊んでいということもあって「911も同じ6気筒エンジンなんだから整備も問題なく自分でできる。これは遊べるぞ!」と思ってはいたんです。それに、同じく911で遊びたいという仲間もいたりしたので、じゃ安くてボロい911を見つけて、直しながら遊ぼうかなぁと画策したのがきっかけでした。


 実はですね、ベースとなる911を探すためにわざわざロサンゼルスからサンフランシスコまで、アメリカ西海岸を歩き回ってクルマ探しの旅をしたんですよ。そこまでいったんだけど、アメリカではなかなかいい911に出会えなくて、結局は日本でクルマをみつけたんですけど。

 このストーリーにはアキノリさんも僕もびっくり! アメリカ〜日本間クルマ探しの旅をしたショーキチ師範が見っけてきたナローが、今レストア真っ最中のこの個体というわけです。

日岐 ところで……やっぱり最初はちゃんと動いていたんですか、このナロー?

石田師範 もちろんもちろん。今はあんなにサビてるけど、買ってきた当時は当然ですけどあんなにサビてなくって、普通に乗れるクルマだったんで、しばらく乗っていたんです。でも、キャブの調整ができてないからエンジンの調子はあんまりよくなかったし、なにしろ走ってると天井から粉が降ってくるんですよ。ライニングの中身のスポンジがすっかり劣化しちゃってて、走行中に「ガタン」ってクルマが揺れるとスポンジの粉が「パラパラパラー」っと降ってくる。

 あともうひとつ我慢ならなかったのが、ウエザーストリップゴムが硬化しちゃっていて雨漏りもしちゃっていたことです。ゴムの弾力がなくなってるところに、どうやら漏り止めのコーキング剤まで塗りたくられちゃってて。ゴムが硬化してるところにコーキング入れたって雨漏り直らないんですよね。解決にならないんです。天井からのパラパラと雨漏り、この2点が内装的にダメで、まずはこれらを改善しようと内装をバーっとひっぺがして、ガラスを外し、内側のサビを軽く落としたんです。とまあ、ここまではよかったんですけど、いよいよ次の作業! ってところで仕事が忙しくなっちゃって、作業が止まってしまったというわけなんですね。

 それでひとまず、車体にカバーをかけた状態でうちの庭先に置いておいたんです。カバーはしてあるんですけど、でもガラスは外しちゃっているわけで、やっぱり水がちょいちょい漏れて車内に入ってきちゃう。それで、2~3ヶ月に一回は湿気取りのための虫干ししてたんです。けれど、次第にそれでも水気が入ってくるのに追いつかなくなってきたと。そんなある時、ついつい丸々1年くらいカバーかけっぱなしのまま置いちゃったんですよ。そうこうしているうちに、家を引っ越す事になり「そーいやどうなってるかなー、ポルシェ」とカバーを剥がしてみたんです。そしたら、床に池ができてたんですねぇ。

日岐 いいい、池ですか?

石田師範 池になってたんです。床が(笑) 

日岐 師範ーッ、池話は初耳ですー!!

 室内のあのサビっぷりは、池の仕業だったんですね……。以上、師範のもとでこれまで過ごしてきたナロー号のお話でした! 次回道場日記は、これまでの1年間に道場メンバーがどんなペースで作業をすすめてきたかという点とその内容を簡単に振り返ります。ぜひお楽しみに!